手芸って算数が意外と重要

手作りに重要な要素のひとつとしてあげられるのがレシピだ。

どの分野にも共通していると思うが、設計図は最重要。布小物では構成図と呼ばれる。

ここには、作品を完成させるために必要なパーツの寸法や、パーツ類を付ける位置、縫う位置などが記される。そうして、この構成図を元に、型紙を作り、使う生地の用尺を算出する。


型紙を作るときに必要なのが各パーツの寸法だ。直線的な作品ならば、足し算と引き算で完結する場合が多いが、ラウンド型の小物になると円周率の[3.14]、パッチワークのような幾何学模様を作る場合は、三平方の定理のルート2の[1.41]とルート3の[1.73]といった数字が鍵になる。

どれも中学生までで習うことだけれど、計算となると面倒。

しかしながらここで辛抱強く算出しなくては、整合性ある型紙が作れない。


例えば、縦30㎝幅30㎝奥行き12㎝の楕円底型のバッグを作りたいとき、

側面の寸法出しは下の例のようになる。

奥行きの寸法から描くカーブを正円とする場合、aはカーブを描くときの半径、

bは横幅寸法からカーブ2ヶ所を除いた直線部分の長さとなる(30ー6×2㎝)。

側面の寸法を小数点2位以下で表すのは現実的ではないので、

実際に型紙を作る場合は、縦30㎝、横73.6㎝となる。

両脇を縫い合わせるスタイルにするならこの73.6㎝を半分にするので、

側面は、縦30㎝、横36.8㎝を2枚。という具合だ。

この例は底から側面を算出したけれど、

同じ方法を辿れば、側面の寸法を先に決めてから底を算出することもできる。


一からデザインを起こして型紙を作るのには、ちょっとした苦労がある話。

だから、、というわけではないけれど、雑誌やwebに掲載されている型紙などを使うときには

レシピを起こした作家さんたちのこと、少しでいいから思いをめぐらせて欲しいと思う。

そして、雑誌に載せるため、いわゆる配布用に清書する仕事の中では、

作家さんのデザインへのこだわりを、わかりやすく伝えられる図面を描けるように、日々努力なのである。






手芸日誌/by neoteny

京都在住の手芸誌専門、フリーランス編集者&イラスト描きによる手芸コラムと京都で見つけた手ぬぐいの紹介、手芸本の案内。手芸日誌/by neoteny

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